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『コンセプトの教科書』⑦ 最後に1行まで削れるか?17/30
ここまで考えてきた内容は、
決して単純ではない。
顧客の本音を考える。
自分たちの強みを考える。
競合を見る。
未来を描く。
当然、説明しようとすれば長い文章になる。
それなのに本書では、
コンセプトを
一行にすること
が重視されている。

最初は、少し無理があるようにも感じた。
そんなに短くしてしまったら、
大切な内容が抜け落ちてしまうのではないか。
しかし、読み進めるうちに、
一行にするとは
「内容を省略すること」ではなく、
本質だけを残す作業

なのだと思うようになった。
企画について10分説明しなければ意味が伝わらないのであれば、
自分の中でもまだ整理できていない可能性がある。
誰のための企画なのか。
何を変えたいのか。
どんな新しい価値をつくるのか。
その中心が明確なら、短い言葉にも方向性が残る。
たとえば、「海の近くの賃貸住宅」という説明では、何をつくればよいか分からない。
しかし、「海のそばで、家に帰るたびに気持ちを切り替えられる住まい」とすれば
、少し景色が見えてくる。
玄関の入り方。
窓の位置。
照明。
素材。
収納。
一つの言葉から具体的な判断へつながっていく。
私はここで、一行のコンセプトは広告のために短くするのではなく、
判断を速くするために短くする
のだと思った。
ただし、危険もある。

最初から格好いい一行をつくろうとすると、
中身が言葉に引っ張られてしまう。
大切なのは、言葉から始めるのではなく、
十分に考えた最後に言葉を削って
いくことだろう。
一行という短さの中に、どれだけ多くの思考を込められるか。
そこがコンセプトづくりの難しさであり、面白さなのだと思う。
