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『コンセプトの教科書』⑥ 未来から逆算 16/30

ここまで読んできて、

コンセプトには

二つの方向

があるように感じてきた。

 

一つは、今ここにある問題を深く見ること。

もう一つは、少し先の未来を見ることである。

 

 

私は後者の考え方にとても惹かれた。

 

 

建築や不動産の仕事では、どうしても目の前の条件に意識が向く。

 

この土地なら何戸入るか。
いくらで建つか。
いくらで貸せるか。
利回りはどうなるか。

 

もちろん事業である以上、これは避けて通れない。

 

しかし、それだけを見ていると、建物が完成した瞬間がゴールになってしまう。

 

本当は建物が完成してから、そこでの暮らしが始まる。

 

たとえば一棟の賃貸住宅をつくるとき、「何戸の住宅をつくるか」ではなく、

「この場所にどんな暮らし方を増やしたいか」

と考えてみる。

 

すると企画の意味が少し変わる。

 

 

忙しく働く人が、家に帰ると気持ちをリセットできる住まいなのか。

 

ものづくりが好きな人が、暮らしながら何かをつくれる住まいなのか。

 

近所との緩やかな関係が自然に生まれる住まいなのか。

 

これは、まだ存在していない未来の風景を先に想像するということだと思う。

 

私はここで、企画者とは

 

「未来の編集者」

 

のような仕事なのかもしれないと感じた。

 

 

今ある需要を拾うだけなら、

どうしても受け身になる。

しかし

、「こういう暮らし方が、これから少し増えたら面白い」と考えると、

企画する側から社会に提案

できる。

 

 

もちろん壮大な未来を語る必要はない。

 

一棟の建物によって、ある家族の時間が少し豊かになる。街角の景色が少し良くなる。

 

 

そのくらいの未来でも十分だと思う。

建築は長く残る。

 

だからこそ「今、何が売れるか」と同じくらい、

 

「この先、何を残したいか」

 

を考える必要がある。

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