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『コンセプトの教科書』④ 欲しいものを言葉にできない 14/30
企画をするとき、
「顧客の声を聞くこと」はとても大切だと言われる。
私もそう思っている。

ただ、この本を読んで改めて考えたのは、
聞いた言葉をそのまま受け取れば
よいわけではない、
ということである。
人は、自分が本当に欲しいものを意外とうまく説明できない。
たとえば、住宅について「収納がもっと欲しい」と言う人がいたとする。
もちろん収納を増やすことも一つの答えである。
しかし、その言葉の奥には
別の気持ちが隠れているかもしれない。

「部屋をいつもきれいに見せていたい」
「家に帰ったときに生活の雑然さを見たくない」
「片づけに時間を使いたくない」
もし本当の気持ちがそこにあるなら、
単純に収納量を増やす以外の解決策も考えられる。
私はここを読んで、
顧客ニーズと顧客インサイトの違い

が少し分かった気がした。
ニーズは表面に出てくる要望である。
その奥にある「なぜそう思うのか」がインサイトなのだろう。
これは建築でもとても重要だと思う。
人が「広いリビングが欲しい」と言うとき、本当に欲しいのは面積なのか。それとも家族が自然に集まる時間なのか。
「駅近がいい」という希望も、単なる距離ではなく、
忙しい毎日の中で自由な時間を少しでも増やしたいという気持ちかもしれない。
もちろん、企画者が勝手に顧客の気持ちを決めつけてはいけない。
だからこそ、質問するだけでなく、
観察することが必要
になるのだと思う。
どんな行動をしているのか。
何を面倒に感じているのか。
何に小さな喜びを感じているのか。
コンセプトづくりはマーケティングの技術だと思っていたが、
ここまで読むと、
むしろ人間を見る仕事

に近い。
私はそこが、この本の面白いところだと感じた。