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『人文学は武器になる』② AI時代だからこそ 2/30
『人文知は武器になる』
の出発点は、とてもシンプルだ。

これまで社会では、
「知識をたくさん持っている人」
「問題を速く正確に解ける人」
が優秀だと考えられてきた。
しかしAIが登場したことで、この
「優秀さ」の定義そのものが変わろうとしている。

調べる、整理する、分析する、文章を書く。
こうした知的作業の多くをAIができるようになれば、
人間が同じ能力だけで競争しても意味がなくなっていく。
そこで重要になるのが
「何を問題として設定するのか」「どの方向へ進むべきなのか」
を考える力である。
例えば会社を経営していて、「売上を10%伸ばすにはどうすればいいか」という問いを立てれば、
AIはさまざまな方法を提示してくれるだろう。
しかし、「そもそも売上を増やすことが一番重要なのか」
「この会社は何のために存在するのか」
という問いには、唯一の正解がない。
そこで必要になるのが
歴史、哲学、文学、宗教など、人間や社会について長い時間をかけて考えてきた
人文知なのだと思う。
本書では、人文知の価値を
「複数の視点を持つこと」と結びつけている。

一つの出来事を経済だけで見るのではなく、
歴史から見る。
文化から見る。
人間の心理から見る。
違う角度から見ることで、目の前の出来事をより正確に理解できる。
これは経営にも非常に重要だ。
これからのリーダーに求められるのは、
誰よりも多く知っていることではなく、
複雑な状況の中から「いま何が起きているのか」を読み取り、
自分なりの判断を下す力なのだろう。
AIによって知識の価値がなくなるのではない。
むしろAI時代になったからこそ、
知識をどう使うかと

いう人間側の力が問われる
のだと思った。