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決算書×ビジネスモデル大全⑧ サカタのタネの安定経営 18/30
サカタのタネ
という会社
野菜や花の種子の卸売事業を手掛けている
この会社の経営が
実に手堅い
それを数字面から今回は見ていきたいと思います
サカタのタネのすごい所
それは
種子の世界シェア
ブロッコリーの種子では世界の65%
トルコギキョウでは70%
そして海外売上高が
売上に占める割合が71%というグローバル企業
決算書上の特徴は
その安全性
手元流動比率
=手元資金÷平均月商は
4.6か月
自己資本比率は85%
さらに高い収益性
BS
流動資産 890億(現預金280億 棚卸380億 売掛180億)
有形固定資産 370億(研究農場、販売店舗など)
そして実質無借金
自己資本比率は先ほども書いたように85%と高水準
PL
売上 730億
原価 290億(原価率40%)
販売費330億(販売比率45%)
営業利益110億(営業利益率15%)
収益性の秘密は
高い品質とオリジナル性を持つ種子を顧客に提供すること
その裏付けとして
⇒充実した研究開発体制
従業員の20%が研究開発スタッフ
研究開発費の総額は80億で売上の11%
サカタのタネが高い安全性を確保する理由
なぜ
安全性をもとめ(自己資本、手元流動の充実を目指すのか)
種子業界の体質として
花や野菜の品種を育成するのには10年近い長い年月が必要
それは
自然環境などリスクと隣り合わせ
開発は「無駄の繰り返し」と社長自身も述べている
このようなリスクに対応するために
とにかく
財務内容は常に安全性を高めておく必要がある
リスクヘッジのために
研究農場も
世界各地に展開
地域的なリスクを最小限にしている
なぜそこまでリスクを恐れるか
それは
創業期の苦い経験が原因
創業期
「関東大震災の不況に直面
イギリスの種苗メーカーから注文を受けたが」
収穫に失敗
⇒前金を使わずの保留していたので
返金が可能だった
この教訓から
手元を使って
苗の育成に失敗すると
⇒それはイコール倒産を意味する
ということを学んだ
この経験からとにかく財務内容を安全にする社風が生まれた
種子の開発には
10年
とほうもない
リスクもあるので
我慢強いひとにしかできない仕事
内容を聞けば聞くほど
儲からるからといって簡単には参入できない
高い高い参入障壁がある
そのうえ
財務内容はピカピカ
最後まで生き残るのはこういう会社
まさに盤石の防御