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決算書×ビジネスモデル大全⑦ アサヒ、キリン、サッポロの違い 17/30
業種が
同じなら
中身も
ほぼ同じなのだろうと考えがちだが
ビールメーカー(飲料メーカー)
の3社
アサヒ
キリン
サッポロの
財務内容を比較すると
その方向性が随分と違う
今回はその説明
まず「無形固定資産」という項目が
三社で大きく違い
それが
戦略の違いを表す
まずアサヒは
無形固定資産を2015年を期に
大きく増加させている
2兆7000億
キリンは
2000年代半ばから
一次的に増えたが
その後減少
サッポロは
一貫して無形固定資産は低い水準を維持
これはどういうことなのか?
アサヒ
アサヒの無形固定資産は
2兆7000億
これは総資産の6割に相当
この理由は
アサヒが積極的に推し進めている
海外M&A
海外の飲料メーカーを次々と買収している
資金のほとんどを有利子負債と調達
結果 自己資本比率は34%まで低下
ちなみに
アサヒのPL
売上収益 2兆430億
利業利益 1350億(営業利益率7%)
一定水準の利益確保
キリン
特徴は
資産項目に 投資その他の資産として
6160億円が計上されている点
この大半 3870億が
持ち分法で会計処理される
関連会社に対する投資
健康食品や医薬品事業などが
連結子会社に含まれ
ここから
⇒キリンが飲料以外の
医薬品等々の事業に進出
多角経営にカジを切ったことがわかる
キリンもアサヒ同様
飲料メーカーの買収を進めていたが
業績不振で
2017年を期に減少
売却に方向転換
結果
無形固定資産(のれん代)
は
2014年の8490億円から
⇒2020年には4550億円と(46%減少)
PL
は
売上収益 1兆8560億
営業利益 1030億(営業利益率6%)
コロナ禍でも安定
サッポロ
サッポロ
のBSには特徴として
投資不動産が2190億経常されている
大半は恵比寿ガーデンプレースの
1310億
その他に札幌市の札幌ファクトリーがある
サッポロは不動産事業の占める比率が大きいことが
特徴
M&Aはほとんど行わず
無形固定資産は
わずかに270億円
PL
売上収益 4380億
営業損失 160億(営業利益率-4%)
と
コロナ禍で赤字に転落
他の2社が利益を維持する中
明暗を分けている
とこう見てみると
飲料メーカーという本業で
積極的に
海外に出ていこうとする
アサヒ
そして
多角化により
生き残りをはかる
キリン
何もできずに
不動産に頼りっきりの
サッポロ
と三者三様の様子がわかる
サッポロの飲料部門はジリ貧なのだろうか?
アサヒの海外展開はうまくいくのか?
キリンは飲料メーカーから
多角化された会社へと脱皮できるか?
今後の展開が楽しみになってくる。